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個人事業主がよく使う勘定科目一覧|仕訳例付き
複式簿記では取引の内容を「勘定科目」という分類に当てはめて記録します。勘定科目は数百種類ありますが、フリーランス・個人事業主が実際に使うのは限られたものです。よく使う科目を仕訳例とともにまとめました。
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。
収益(売上)の勘定科目
売上高
本業の売上を記録する科目です。
請求書を発行したとき(課税事業者・税抜処理の場合)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 110,000円 | 売上高 | 100,000円 |
| 仮受消費税 | 10,000円 |
免税事業者の場合は消費税を区分せず、110,000円をそのまま売上高に計上します(国税庁 No.6375 税抜経理方式又は税込経理方式による経理処理)。
入金されたとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 110,000円 | 売掛金 | 110,000円 |
資産の勘定科目
| 勘定科目 | 内容 |
|---|---|
| 現金 | 手元の現金 |
| 普通預金 | 事業用の普通預金口座 |
| 売掛金 | 請求済みで未入金の売上代金 |
| 前払費用 | 翌期分を先払いした費用(年払い保険料など) |
| 工具器具備品 | パソコン・カメラなど10万円以上の備品 |
| ソフトウェア | 購入したソフトウェアライセンスなど無形固定資産(月額SaaSは該当せず、支払手数料等で処理) |
| 敷金 | 事務所の敷金・保証金 |
売掛金・未収入金の使い分け
- 売掛金:本業の売上に対する未収金
- 未収入金:本業以外の取引に対する未収金(固定資産の売却など)
負債の勘定科目
| 勘定科目 | 内容 |
|---|---|
| 未払金 | 支払義務が確定しているが未払いの費用 |
| 未払費用 | 発生しているが未払いの費用(翌月末払いの家賃など) |
| 前受金 | 先に受け取った代金(仕事の着手前の入金) |
| 仮受消費税 | 受け取った消費税(免税事業者は不要) |
| 短期借入金 | 1年以内に返済する借入 |
費用の勘定科目(経費)
フリーランス・個人事業主がよく使う経費科目です。
通信費
電話料金・インターネット回線費用・郵便料金などです。スマートフォンを事業とプライベートで兼用している場合は、事業使用割合(例:60%)で按分します(国税庁 No.2210 やさしい必要経費の知識)。
月額インターネット料金の支払い
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 5,500円 | 普通預金 | 5,500円 |
旅費交通費
打ち合わせや取材のための交通費・宿泊費です。
電車賃をICカードで支払い(事業口座から引き落とし)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 500円 | 普通預金 | 500円 |
接待交際費
取引先との会食・贈答品などです。個人事業主の交際費は、事業の遂行上直接必要なものに限り、金額の上限なく経費にできます(法人は一部制限あり)。
消耗品費
文房具・用紙・USBメモリなど、10万円未満の事務用品や消耗品です。
事務用品の購入(現金払い)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 2,200円 | 現金 | 2,200円 |
新聞図書費
業務に関連する書籍・雑誌・オンラインニュース購読料などです。
外注費
業務の一部を他者に委託した費用です。フリーランスが下請けに仕事を依頼した場合などに使います。
外注先への支払い
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 外注費 | 50,000円 | 普通預金 | 50,000円 |
地代家賃
事務所・コワーキングスペースの賃料です。自宅の一部を事業に使っている場合は、使用面積割合で按分できます。
自宅家賃の按分(事業使用30%・プライベート口座から支払いの場合)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 地代家賃 | 30,000円 | 事業主借 | 30,000円 |
水道光熱費
電気・水道・ガス代のうち、事業使用割合分です。自宅兼事務所の場合は按分が必要です。
減価償却費
10万円以上の固定資産(パソコン・カメラなど)の購入費は、一括で経費にせず複数年にわたって分割計上します(国税庁 No.2100 減価償却のあらまし)。
青色申告の少額減価償却の特例:青色申告者は取得価額30万円未満(令和8年度税制改正により、2026年4月1日以後に取得した資産は40万円未満)の固定資産を取得年に一括経費にできます(年間合計300万円まで。適用には確定申告書への明細の添付が必要です)。
パソコン(15万円)を購入した場合(少額減価償却特例適用)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 150,000円 | 普通預金 | 150,000円 |
保険料
事業に関連する損害保険料・賠償責任保険料などです。生命保険料は経費にはなりません(所得控除は別途あり)。
支払手数料
銀行振込手数料・クレジットカード年会費・各種サービス利用手数料などです。
個人事業主特有の勘定科目
事業主借
プライベートのお金を事業に投入した場合に使う貸方科目です。
プライベートの財布から消耗品を購入したとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 1,000円 | 事業主借 | 1,000円 |
事業主貸
事業のお金をプライベートに使った場合に使う借方科目です。生活費の引き出しや、所得税の支払いもここに計上します。
事業口座から生活費を引き出したとき
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 事業主貸 | 200,000円 | 普通預金 | 200,000円 |
元入金
個人事業主の純資産に相当する科目です。期首に前期末の純資産額が繰り越されます。法人でいう「資本金」に近い概念ですが、毎年の繰越で変動します。
勘定科目選びのポイント
勘定科目は厳密に定められたものではなく、内容が説明できれば多少の違いは問題ありません。重要なのは:
- 一貫性:同じ種類の取引には同じ科目を使い続ける
- 内容の明確さ:摘要欄に具体的な内容を記録する
- プライベートと事業の分離:迷ったときは「事業主借/事業主貸」で処理する
青色会計では勘定科目のマスタを自由にカスタマイズでき、よく使う仕訳をテンプレートに登録して効率化できます。
本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。