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見積書・納品書・請求書の違い|個人事業主のための書き方と取引の流れ

個人事業主・フリーランスとして仕事を受けると、見積書・納品書・請求書という 3 つの帳票を扱う場面が出てきます。それぞれの役割の違いがあいまいなまま、「請求書だけ作ればよいのでは」と迷う方も多いでしょう。この記事では、3 帳票の役割と取引の流れ、それぞれの一般的な書き方、作成後の保存期間までをまとめて解説します。

※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。

見積書・納品書・請求書の役割の違い

3 つの帳票は、1 つの取引の中で「いつ・何のために」発行するかが異なります。

帳票発行タイミング役割
見積書契約前金額・条件を事前に提示し、発注の判断材料にしてもらう
納品書納品時何をいつ納品したかを示し、相手の検収の手がかりにする
請求書請求時代金の支払いを求める。金額・期日・振込先を伝える

これらの帳票の発行そのものを一律に義務付ける税法上の規定はなく、どの帳票をどう発行するかは基本的に商慣行として定着してきたものです。ただし、次の 2 点には注意が必要です。

  • インボイス制度の交付義務: 適格請求書発行事業者は、課税事業者である取引先から求められた場合、原則として適格請求書(インボイス)を交付する義務と、交付した写しを保存する義務があります(国税庁 No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)
  • 証拠書類としての重要性: 発行・受領した帳票は取引の証拠書類(証憑)であり、帳簿づけの根拠や税務調査時の裏付けになります。後述のとおり保存義務もあります

なお、「適格請求書」は書類の名称で決まるものではなく、必要な記載事項を満たしていれば請求書・納品書などのいずれでもインボイスになり得ます(国税庁 No.6625 適格請求書等の記載事項)。

取引の流れ|見積から入金まで

典型的な取引では、3 帳票は次の順序で登場します。

  1. 見積: 依頼内容をもとに見積書を提示する
  2. 発注: 相手が見積内容を承諾し、発注書(注文書)やメール等で正式に依頼する
  3. 納品: 成果物・商品を納め、納品書を添える。相手は内容を確認(検収)する
  4. 請求: 締め日や納品完了のタイミングで請求書を発行する
  5. 入金: 支払期日までに代金が振り込まれる

帳簿の上では、入金を待たずに、商品を引き渡した・サービスの提供が完了した時点で売上を計上するのが発生主義の原則です。売掛金の計上と入金時の処理は 売掛金・買掛金の仕訳 で詳しく解説しています。

見積書の書き方

見積書の様式に法律上の決まりはありません。一般的には次の項目で構成されます。

  • タイトル(「御見積書」等)・見積番号
  • 発行日
  • 宛名(取引先の名称)
  • 発行者の氏名または屋号・連絡先
  • 品目・数量・単価・金額
  • 小計・消費税額・合計金額
  • 見積の有効期限
  • 備考(納期・支払条件・見積の前提条件など)

金額のほかに、作業範囲や前提条件を備考に明記しておくと、認識のずれによるトラブルを防ぎやすくなります。

納品書の書き方

納品書も様式は自由です。見積書・請求書と品目の書き方をそろえておくと、相手が照合しやすくなります。

  • タイトル(「納品書」)・納品書番号
  • 納品日
  • 宛名
  • 発行者の氏名または屋号・連絡先
  • 納品した品目・数量・単価・金額
  • 備考(対応する注文番号など)

請求書の書き方とインボイスの関係

請求書の一般的な記載項目は次のとおりです。

  • タイトル(「請求書」)・請求書番号
  • 発行日
  • 宛名
  • 発行者の氏名または屋号・連絡先
  • 品目・数量・単価・金額
  • 小計・消費税額・合計金額
  • 支払期日・振込先口座
  • (適格請求書とする場合)登録番号・税率ごとの区分記載など

適格請求書発行事業者として発行する場合は、登録番号や税率ごとに区分した消費税額など、記載事項の要件を満たす必要があります。必須記載事項の詳細・記載例・消費税の端数処理のルールは インボイス対応の請求書の書き方 で解説しています。

こうした帳票は表計算ソフトでも作成できますが、見積書から納品書・請求書への変換や番号管理を手作業で行うのは手間がかかります。姉妹サービスの 青色請求書 では、見積書・納品書・請求書を無料で作成できます。

発行した帳票・受け取った帳票の保存期間

見積書・納品書・請求書は、発行した控えも受け取ったものも保存義務の対象です。青色申告の個人事業主の場合、帳簿・書類は原則 7 年間の保存とされていますが、請求書・見積書・納品書・送り状などの書類は 5 年間の保存でよいとされています(国税庁 No.2070 青色申告制度)。

保存するもの保存期間(青色申告)
帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など)原則 7 年
請求書・見積書・納品書・送り状などの書類5 年

消費税に関しては別のルールが重なります。仕入税額控除を受けるために保存する帳簿や受け取った請求書等(適格請求書等)は、課税期間の末日の翌日から 2 か月を経過した日から 7 年間の保存が必要です(前掲 No.6625)。また、適格請求書発行事業者が交付したインボイスの写しにも 7 年間の保存義務があります(国税庁 インボイス制度に関する Q&A 問 79)。保存期間の区分に迷う場合は、最長の 7 年にそろえて保存しておくと管理しやすいでしょう。

電子で送った・受け取った帳票のデータ保存

メールやクラウドサービスで見積書・納品書・請求書の PDF などをやり取りした場合、そのデータは電子帳簿保存法の「電子取引」データ保存の対象になり得ます。2024 年(令和 6 年)1 月以降にやり取りした電子取引データは、原則として、改ざん防止措置や検索性などの要件に従って電子データのまま保存することが求められます。要件の詳細は国税庁の 電子帳簿等保存制度特設サイト をご確認ください。

紙で発行・受領した帳票の整理方法や帳簿づけの基本は 帳簿のつけ方 も参考にしてください。

よくある疑問

Q:納品書は必ず発行しなければいけませんか?

納品書の発行を一律に義務付ける税法上の規定はなく、発行するかどうかは商慣行によります。物品の販売では商品に同梱するのが一般的ですが、Web 制作やライティングなどの役務提供では、納品書を発行せず検収連絡や完了報告のメールで代える取引も見られます。取引先の運用に合わせるのが実務的です。

Q:見積書の有効期限はどのくらいにすべきですか?

有効期限の長さに法律上の決まりはありません。一般的には 2 週間〜3 か月程度の範囲で設定されることが多いようですが、業種や案件によって幅があります。仕入価格や作業状況が変わると同じ条件で受けられなくなるため、自分の事業の実情に合わせて無理のない期限を記載するのが一般的です。

Q:請求書番号はどう付ければよいですか?

請求書番号の付け方に法律上のルールはなく、適格請求書の必須記載事項にも番号は含まれていません。実務上は、通し番号(001、002…)や日付ベース(20260801-01 など)のように、後から特定・照合しやすい規則で付けるのが一般的です。過去の請求書を探すときや取引先からの問い合わせ対応が楽になります。

まとめ

  • 見積書は契約前の条件提示、納品書は納品内容の通知、請求書は代金の請求と、発行タイミングと役割が異なる
  • 3 帳票の発行を一律に義務付ける税法上の規定はなく商慣行によるが、適格請求書発行事業者には求めに応じたインボイスの交付義務がある
  • 取引は「見積 → 発注 → 納品 → 請求 → 入金」と流れ、売上の計上は入金時ではなく納品・役務提供の完了時点が原則
  • 青色申告では請求書・見積書・納品書などの書類は 5 年保存。消費税の仕入税額控除に関わる請求書等やインボイスの写しは 7 年保存
  • 電子でやり取りした帳票データは電子帳簿保存法の電子取引データ保存の対象になり得る

発行した請求書にもとづく売上の計上や入金の消込は、帳簿への記録が必要です。青色会計では売掛金の仕訳入力から青色申告決算書の出力まで対応しています。


本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。

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