Skip to content

フリーランスの源泉徴収|仕組みと確定申告での処理方法

「請求額より振込額が少ない」「源泉徴収税額とは何か」と疑問を持つフリーランスの方は多いです。源泉徴収は、支払う側(クライアント)が報酬から所得税を差し引いて国に納める制度です。確定申告でこの金額を精算するため、仕組みを正しく理解しておきましょう。

※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。

源泉徴収とは

源泉徴収とは、報酬・料金を支払う側が、支払い時に所得税を差し引いて国に代わりに納付する制度です。

通常、事業所得者は確定申告で税額を計算して自分で納付しますが、源泉徴収がある場合はクライアントが先に税金を徴収・納付します。フリーランスは確定申告で1年分の正確な税額を計算し、すでに源泉徴収された金額を差し引いて差額を精算します。

1年間の所得税額(確定申告で計算)
  − 源泉徴収税額の合計(年間累計)
  = 差額

差額がマイナス → 還付(税金が戻ってくる)
差額がプラス  → 追加納付

つまり源泉徴収は税金の前払いであり、確定申告によって最終的な精算が行われます。

源泉徴収の対象となる報酬

源泉徴収の対象は、個人(個人事業主)への一定の報酬・料金の支払いに限られます。

法人(会社)への支払いは源泉徴収の対象外です。同じ業務でも、相手が個人か法人かで取り扱いが変わります。

個人事業主が受け取る報酬のうち、源泉徴収の対象となる主なものは以下の通りです(所得税法第204条。詳細は国税庁タックスアンサー No.2792「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」を参照)。

対象となる報酬具体例
原稿料・著作権の使用料記事執筆、コンテンツ制作
講演料・セミナー講師料登壇料、研修講師料
デザイン料グラフィック、UI/UXデザイン
翻訳料・通訳料翻訳・通訳サービス
弁護士・税理士・社会保険労務士等の報酬士業への報酬
写真・イラストの使用料撮影、イラスト制作

システム開発・プログラミングについて

エンジニア・プログラマーへの報酬(システム開発、プログラミング等)は、所得税法上の源泉徴収対象に明記されておらず、原則として対象外です。ただし、技術コンサルティングや技術指導の性格が強い業務では対象となる場合もあり、クライアントによって取り扱いが異なります。

源泉徴収されるかどうか不明な場合は、契約前にクライアントに確認しておくと安心です。

源泉徴収税率と計算方法

源泉徴収税率は、1回の支払いごとの金額に応じて以下のように異なります(国税庁タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」)。

1回の支払い金額源泉徴収税率
100万円以下の部分10.21%
100万円を超える部分20.42%

税率に「0.21%」「0.42%」が含まれているのは、復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が上乗せされているためです。

消費税との関係

源泉徴収の計算基礎と消費税の取り扱いは以下の通りです。

  • 請求書で消費税を明示している場合:報酬額(税抜)を基礎に計算
  • 消費税を明示していない(税込で記載)場合:請求金額の全額を基礎に計算

インボイス登録をして消費税を別途請求している場合は、税抜き金額に対して源泉徴収が計算されます。

計算例①:一般的なケース(100万円以下)

デザイン料100,000円(消費税別)を請求した場合

報酬額(税抜):100,000円
消費税(10%):  10,000円
請求合計:     110,000円

源泉徴収額:100,000円 × 10.21% = 10,210円(円未満切り捨て)

実際の振込額:110,000円 − 10,210円 = 99,790円

計算例②:100万円を超えるケース

報酬150万円(税抜)を1回の請求にまとめた場合

100万円以下の部分:1,000,000円 × 10.21% = 102,100円
100万円超の部分:    500,000円 × 20.42% = 102,100円
源泉徴収額合計:                           204,200円

高額な報酬を複数回に分けて請求するか1回にまとめるかで源泉徴収額が変わることはありません(年間の所得税は確定申告で精算されるため)が、請求書の分け方は事前にクライアントと確認しておきましょう。

確定申告での処理

支払調書の確認

年末から翌年1月頃にかけて、源泉徴収を行ったクライアントから支払調書が送られてくることがあります。支払調書には年間の報酬額と源泉徴収税額が記載されています。

ただし、支払調書をフリーランスに送ることはクライアントの法的義務ではありません(同一人への年間支払額が5万円を超えるときなど、一定の場合に税務署への提出義務があります)。届かない場合は、通帳の入金記録と請求書を照合して自分で集計する必要があります。

確定申告書への記入

確定申告書の「源泉徴収税額」欄に、年間の源泉徴収税額の合計を記入します。この金額が計算した所得税額から差し引かれ、過不足が還付または追加納付として処理されます。

帳簿への記録(仕訳)

源泉徴収された報酬は次のように記帳します。個人事業主にとって所得税は事業の費用ではなく個人の税金です。クライアントが代わりに納付した所得税分は事業主貸として処理するのが一般的です。

免税事業者(税込処理)の場合

例:報酬100,000円(税込)、源泉徴収額10,210円、振込額89,790円

請求時:

借方金額貸方金額
売掛金100,000円売上高100,000円

入金時:

借方金額貸方金額
普通預金89,790円売掛金100,000円
事業主貸10,210円

課税事業者(税抜処理)の場合

例:報酬100,000円(税抜)、消費税10,000円、源泉徴収額10,210円、振込額99,790円

請求時:

借方金額貸方金額
売掛金110,000円売上高100,000円
仮受消費税10,000円

入金時:

借方金額貸方金額
普通預金99,790円売掛金110,000円
事業主貸10,210円

まとめ

  • 源泉徴収はクライアントが所得税を代わりに先払いする制度
  • 対象は個人への一定の報酬のみ(法人は対象外)
  • 税率は100万円以下:10.21%、超える部分:20.42%(復興特別所得税込)
  • 消費税を明示した請求書では、源泉徴収は税抜き金額に対して計算される
  • 確定申告で1年分の税額と源泉徴収済み税額を精算する(差額は還付または追加納付)
  • 帳簿では入金時に差額を事業主貸として記録する

本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。

青色申告を、もっとかんたんに。

青色会計は個人事業主向けのクラウド会計サービスです。複式簿記での記帳から青色申告決算書の作成まで、無料で始められます。

青色会計を見てみる →