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個人事業税はいくらから?計算方法から仕訳までわかりやすく解説

個人事業主が納める税金は所得税・住民税だけではありません。事業の所得が一定額を超えると「個人事業税」がかかります。この記事では、個人事業税がいくらからかかるのか、計算方法と具体例、納付時期、帳簿への仕訳まで解説します。

※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。個人事業税は都道府県税のため、本記事では東京都の例をもとに解説します。金額・納期等の詳細は事業所のある都道府県のページでご確認ください。

個人事業税とは

個人事業税は、事務所や事業所を設けて法定業種の事業を行っている個人に課される都道府県税です(東京都主税局 個人事業税)。

所得税との主な違いは次のとおりです。

項目所得税個人事業税
課税主体国(税務署)都道府県(都道府県税事務所)
納め方自分で申告して納付(申告納税)送付される納税通知書で納付(賦課課税)
対象すべての所得法定業種の事業所得等
青色申告特別控除適用あり適用なし
必要経費になるかならないなる(租税公課)

自分で税額を計算して申告する所得税と違い、個人事業税は確定申告の内容をもとに都道府県が税額を計算し、納税通知書を送ってくる仕組みです。

個人事業税はいくらからかかるか

目安は「事業の所得が年290万円超」

個人事業税には年290万円の事業主控除があります(東京都主税局 個人事業税)。事業の所得(収入から必要経費を差し引いた額)が290万円以下であれば、税額は発生しません。

  • 営業期間が1年未満の年(開業初年度など)は、事業主控除は月割になります(例:営業期間1か月なら24万2,000円、11か月なら265万9,000円)
  • ここでいう「所得」は青色申告特別控除を差し引く前の金額です(後述)

法定業種に当たらない事業には課税されない

個人事業税の対象は、地方税法に定められた**法定業種(70業種)**の事業です。ほとんどの事業が該当しますが、区分と税率は次のとおりです。

区分税率業種の例
第1種事業(37業種)5%物品販売業、飲食店業、製造業、請負業、広告業、出版業、写真業、不動産貸付業など
第2種事業(3業種)4%畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業(30業種)5%医業、弁護士業、税理士業、デザイン業、コンサルタント業、理容業・美容業など
第3種事業のうち一部3%あんま・マッサージ・はり・きゅう等の医業に類する事業、装蹄師業

一方、たとえば文筆業のように法定業種の表に掲げられていない業種は、課税されない場合があります。ただし、どの業種に当たるかは契約内容や業務の実態で判断されるものであり、名乗っている職種名だけでは決まりません。自分の事業が課税対象かどうかは、事業所のある都道府県税事務所に確認してください。

個人事業税の計算方法

計算式

(事業の所得 − 事業主控除290万円等) × 税率 = 税額

計算のポイントは次の3つです(東京都主税局 個人事業税)。

  1. 青色申告特別控除は適用されない — 個人事業税には青色申告特別控除の適用がないため、所得税の計算で控除した65万円(または55万円・10万円)を足し戻した金額が基礎になります
  2. 事業専従者給与は控除できる — 青色申告は支払額、白色申告は配偶者86万円・その他1人50万円が限度です
  3. 損失の繰越控除などもある — 一定の要件のもと、事業の損失や被災事業用資産の損失を翌年以降3年間繰り越して控除できる制度があります

具体例:フリーランスのデザイナー(第3種事業・税率5%)

  • 事業収入:700万円
  • 必要経費:200万円
  • 青色申告特別控除:65万円
手順計算金額
① 事業の所得(青色申告特別控除700万円 − 200万円500万円
② 事業主控除を差し引く500万円 − 290万円210万円
③ 税率を掛ける210万円 × 5%10万5,000円

所得税の課税所得の計算では65万円の青色申告特別控除を差し引きますが、個人事業税では差し引かない点に注意してください。「所得税はほとんどかからないのに個人事業税の通知が来た」というケースは、この違いが原因のことがあります。

納付時期と納付方法

個人事業税は、前年の所得に対する納税通知書が8月に都道府県税事務所から送付され、原則として8月と11月の年2回に分けて納付します(東京都の場合、第1期の納期限は8月31日・第2期は11月30日)。

時期内容
2〜3月所得税の確定申告(この内容をもとに事業税が計算される)
8月納税通知書が届く・第1期分を納付
11月第2期分を納付

納付方法は口座振替・金融機関やコンビニでの窓口納付・クレジットカードやスマートフォン決済アプリなど、都道府県により複数用意されています。開業後1年目は前年の事業所得がないため通知は来ず、2年目の8月に初めて届くのが一般的な流れです。開業後の年間スケジュール全体は「個人事業主が開業後にやること一覧」を参照してください。

個人事業税の仕訳|租税公課として経費になる

個人事業税は、所得税や住民税と異なり全額を必要経費にできます。国税庁のタックスアンサーでも「事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります」「所得税や住民税は必要経費になりません」とされています(国税庁 No.2210 やさしい必要経費の知識)。

勘定科目は租税公課を使います。

第1期分を事業用口座から納付したとき

借方金額貸方金額
租税公課52,500円普通預金52,500円

第2期分をプライベートの財布・個人口座から納付したとき

借方金額貸方金額
租税公課52,500円事業主借52,500円

一方、経費にならない所得税・住民税を事業用口座から納付した場合は、租税公課ではなく事業主貸で処理します。

所得税を事業用口座から納付したとき(経費にならない)

借方金額貸方金額
事業主貸100,000円普通預金100,000円

事業主借・事業主貸の使い分けは「個人事業主がよく使う勘定科目一覧」を、経費にできる支出の範囲は「個人事業主が経費にできるもの一覧」を参照してください。

確定申告との関係|事業税の申告は原則不要

個人事業税には本来、都道府県への申告義務がありますが、所得税の確定申告や住民税の申告をした人は、個人事業税の申告を別途行う必要はありません東京都主税局 個人事業税)。確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」欄(事業税の非課税所得など)に該当があれば記入しておきましょう。

なお、年の途中で事業を廃止した場合は、廃止の日から1か月以内(死亡による廃止の場合は4か月以内)に個人事業税の申告が別に必要です。

まとめ

  • 個人事業税は法定業種の事業を行う個人にかかる都道府県税。目安は事業の所得が年290万円超(事業主控除290万円。営業期間1年未満の年は月割)
  • 税率は業種区分により3〜5%。法定業種に当たらない業種は課税されない場合があるため、判断に迷ったら都道府県税事務所へ
  • 計算の基礎は青色申告特別控除を差し引く前の所得。青色申告特別控除は個人事業税には適用されない
  • 納税通知書は8月に届き、原則8月と11月の年2回で納付する
  • 納付額は租税公課として全額必要経費になる(所得税・住民税は経費にならない)
  • 所得税の確定申告をしていれば、個人事業税の申告は原則不要

個人事業税の仕訳は年2回だけですが、経費になる税金・ならない税金の区別を誤ると所得計算に影響します。青色会計なら租税公課などの勘定科目を選ぶだけで複式簿記の仕訳が完成するので、年に数回しか登場しない取引も迷わず記帳できます。


本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。

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