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フードデリバリー配達員の仕訳例|ウーバーイーツ・出前館の経費と確定申告
ウーバーイーツ(Uber Eats)や出前館などのフードデリバリー配達を個人事業主・副業として行っている方向けに、確定申告で必要になる仕訳を場面別にまとめました。アプリ経由の報酬入金や現金受け取りの処理から、自転車・バイク・軽自動車の減価償却、ガソリン代やスマホ通信費の家事按分まで、この記事で一通りの記帳パターンが分かります。
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。
収入(報酬)の仕訳
報酬が確定したとき
配達報酬は、入金された日ではなく配達(役務の提供)が済んだ時点の売上として計上します。多くのプラットフォームでは一定期間(週次など)ごとに報酬が確定し、後日振り込まれるため、確定時に「売掛金」を立て、入金時に消し込むのが基本です。
週の報酬32,000円が確定した場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 32,000円 | 売上 | 32,000円 |
年末をまたぐ場合も同じ考え方で、12月に配達した分は入金が翌年でもその年の売上に含めます。
報酬が入金されたとき
振込手数料などが差し引かれて入金される場合は、差し引かれた分を「支払手数料」として計上すると、売上を総額のまま記帳できます。
32,000円の報酬から手数料400円が差し引かれ、31,600円が入金された場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 31,600円 | 売掛金 | 32,000円 |
| 支払手数料 | 400円 |
手数料や報酬の内訳はプラットフォームごとに異なるため、必ずアプリの報酬明細で確認してください。
現金決済の代金を受け取る場合
プラットフォームによっては、注文者から商品代金を現金で受け取り、後日の報酬と相殺する方式があります。受け取った現金のうち商品代金は自分の売上ではないため、「預り金」として処理します。
現金決済の注文で商品代金4,000円を受け取った場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 4,000円 | 預り金 | 4,000円 |
報酬32,000円の支払時に、預かっていた4,000円が相殺されて28,000円が入金された場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 28,000円 | 売掛金 | 32,000円 |
| 預り金 | 4,000円 |
相殺の仕組みや金額の内訳はプラットフォームの明細で確認し、明細と帳簿が一致するように記帳しましょう。
源泉徴収は原則ありません
原稿料や弁護士報酬などは支払時に源泉徴収されますが、配達の対価は所得税法で源泉徴収の対象と定められている報酬・料金に該当しないため、原則として源泉徴収されずに全額が支払われます。フリーランスエンジニアの受託開発報酬のように源泉徴収される業種とは異なり、「入金額=報酬額(から手数料を引いた額)」と考えられます。実際の控除の有無は報酬明細で確認してください。
自転車・バイク・軽自動車の経費仕訳
配達に使う車両は取得価額によって処理が変わります。国税庁の減価償却のあらまし(No.2100)によると、取得価額10万円未満(または使用可能期間1年未満)のものは全額をその年の必要経費にでき、10万円以上20万円未満のものは3年間で均等に経費化する「一括償却資産」の処理も選べます。さらに、一定の要件を満たす青色申告者には、取得価額30万円未満(令和8年度税制改正により、2026年4月1日以後に取得した資産は40万円未満)の減価償却資産を年間合計300万円まで全額必要経費にできる特例があります。
車両の法定耐用年数は国税庁の耐用年数表で次のように定められています(一般用の場合)。
| 車両の種類 | 法定耐用年数 |
|---|---|
| 自転車 | 2年 |
| バイク(2輪・3輪自動車) | 3年 |
| 軽自動車(総排気量0.66リットル以下の小型車) | 4年 |
自転車を購入した場合(10万円未満)
10万円未満なら全額をその年の経費にできます。プライベートでも使う場合は、事業で使う割合だけを経費にし、残りは「事業主貸」で処理します。
60,000円の自転車を購入し、事業使用割合を80%とした場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 48,000円 | 普通預金 | 60,000円 |
| 事業主貸 | 12,000円 |
バイクを購入した場合(少額減価償却資産の特例)
10万円以上のバイクは資産計上して減価償却しますが、青色申告者であれば前述の特例により、取得した年に全額を経費化できる場合があります。
220,000円のバイクを購入し(購入時に「車両運搬具」で資産計上)、配達専用として特例で全額償却する場合の決算時の仕訳:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 220,000円 | 車両運搬具 | 220,000円 |
特例の要件や手続きは国税庁 No.2100で確認してください。
軽自動車を減価償却する場合
特例を使わない(使えない)車両は、法定耐用年数で減価償却します。個人の場合、届出をしなければ定額法で計算します。
1月に800,000円の軽自動車(耐用年数4年・定額法の償却率0.250)を購入してその月から配達に使用し、事業使用割合を70%とした場合、年間の償却費は800,000円 × 0.250 = 200,000円で、決算時の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 140,000円 | 車両運搬具 | 200,000円 |
| 事業主貸 | 60,000円 |
年の途中から使い始めた場合の計算や定率法の詳細は国税庁のページをご確認ください。減価償却の仕組み全体は減価償却の解説記事でも詳しく説明しています。
ガソリン代・充電代
配達に使うバイクや車のガソリン代、電動自転車・EVの充電代は経費になります。勘定科目は「車両費」「旅費交通費」「燃料費」などが使われますが、どれを使うかより同じ科目を継続して使うことが大切です。
配達専用バイクのガソリン代3,000円を現金で支払った場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車両費 | 3,000円 | 現金 | 3,000円 |
プライベート兼用の車両にかかるガソリン代は、車両本体と同様に事業使用割合で按分します。
駐輪場・コインパーキング代
配達中に利用した駐輪場やコインパーキングの料金も経費です。
配達エリアでの駐輪場代400円を現金で支払った場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 400円 | 現金 | 400円 |
金額が小さく件数が多いため、レシートを溜めずにこまめに記帳するのがおすすめです。
装備・通信費など配達特有の経費
ヘルメット・配達バッグなどの装備
ヘルメット、配達バッグ(保温バッグ)、レインウェア、スマホホルダー、モバイルバッテリーなど、配達のために購入した装備は「消耗品費」で処理します。
ヘルメットと配達バッグ計15,000円をクレジットカードで購入した場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 15,000円 | 未払金 | 15,000円 |
カード払いは購入時に「未払金」を立て、引き落とし時に消し込みます。詳しくはクレジットカード払いの仕訳記事を参照してください。
スマホ通信費の按分
配達アプリの稼働にスマホは必須ですが、プライベートでも使う場合は事業使用分だけが経費です。国税庁 No.2210のとおり、家事上と業務上の両方に関わる費用(家事関連費)は、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる部分に限り必要経費にできます。
月額10,000円のスマホ料金を事業使用割合60%で按分した場合:
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 通信費 | 6,000円 | 普通預金 | 10,000円 |
| 事業主貸 | 4,000円 |
按分の考え方は家事按分の解説記事で詳しく説明しています。
注意点:按分の根拠と報酬明細の保存
- 按分割合は記録で説明できるように:車両やスマホの事業使用割合は、稼働日数・稼働時間・走行距離の記録など、実態に基づく合理的な根拠で決めます。適切な割合は稼働状況によって異なるため、迷う場合は税務署や税理士に相談してください。
- 報酬明細は保存する:アプリの報酬明細は売上の根拠書類です。過去の明細が閲覧できなくなる場合に備えて、定期的にダウンロード・保存しておきましょう。
- 免税事業者は税込経理:消費税の納税義務が免除されている免税事業者は、税込経理方式で記帳することとされています。本記事の仕訳例も税込の金額を前提としています。
フードデリバリー配達員向け勘定科目まとめ
| 費目 | 勘定科目 | ポイント |
|---|---|---|
| 配達報酬 | 売上 | 確定時に売掛金、入金時に消し込み |
| 差引手数料 | 支払手数料 | 売上は総額で計上 |
| 現金決済の預かり分 | 預り金 | 売上には含めない |
| 自転車(10万円未満) | 消耗品費 | 兼用なら按分 |
| バイク・車(10万円以上) | 車両運搬具→減価償却費 | 耐用年数は自転車2年・2輪3年・軽自動車4年 |
| ガソリン代・充電代 | 車両費など | 科目は継続して使用 |
| 駐輪場・駐車料金 | 旅費交通費 | こまめに記帳 |
| ヘルメット・バッグ等 | 消耗品費 | カード払いは未払金を経由 |
| スマホ通信費 | 通信費 | 事業使用分のみ按分 |
このほかの一般的な経費の仕訳は経費の仕訳例まとめを参照してください。
まとめ
- 配達報酬は入金時ではなく配達完了ベースで売上に計上し、確定時に売掛金を立てる
- 配達の対価は原則として源泉徴収されないため、入金額と明細の突き合わせが記帳の基本になる
- 車両は取得価額で処理が分かれる:10万円未満は全額経費、青色申告者は30万円未満(2026年4月1日以後取得分は40万円未満)まで特例で即時償却できる場合がある
- プライベート兼用の車両・スマホは、記録に基づく合理的な割合で家事按分する
- 報酬明細は売上の根拠書類として保存しておく
配達で忙しい方こそ、記帳はシンプルに済ませたいものです。青色会計なら、こうした定型的な仕訳をAIの仕訳提案機能で素早く入力でき、日々の売上・経費の記帳から確定申告の準備までを一貫して進められます。
本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。