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小規模企業共済・iDeCoで節税する方法|個人事業主の老後対策
個人事業主は会社員と違い、退職金制度や厚生年金がありません。そのため老後の備えは自分で準備する必要があります。小規模企業共済とiDeCo(個人型確定拠出年金)はどちらも掛金が全額所得控除となり、節税しながら将来の資金を積み立てられる制度です。
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。
小規模企業共済とは
小規模企業共済は、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する、個人事業主や小規模企業の経営者向けの退職金制度です。
加入できる人
- 個人事業主・会社等の役員(常時使用する従業員が20人以下)
- ただし、商業(卸売業・小売業)・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下
多くのフリーランス(IT、デザイン、ライター、コンサルタントなど)はサービス業に該当するため、従業員数5人以下が加入条件になります。従業員を雇用していない場合は業種を問わず加入できます。詳細は中小機構の加入資格ページで確認できます。
掛金と節税効果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掛金 | 月額1,000円〜70,000円(500円単位で設定) |
| 年間上限 | 840,000円(月70,000円×12ヶ月) |
| 所得控除 | 掛金全額が小規模企業共済等掛金控除として控除 |
掛金は全額が所得控除となるため、所得税・住民税の両方が軽減されます。
節税効果の計算例(課税所得500万円・月掛金70,000円の場合)
年間掛金:70,000円 × 12ヶ月 = 840,000円
所得税の節税額:840,000円 × 20%(税率) = 168,000円
住民税の節税額:840,000円 × 10% = 84,000円
合計節税額: 252,000円概算では252,000円の税負担が軽減される形で積み立てができる計算になります(実際は復興特別所得税や税率の境界により変動します)。
受け取り方と税金
廃業・退職時に共済金として受け取れます。受け取り方によって税の扱いが異なります。
| 受け取り方 | 課税区分 |
|---|---|
| 一括受取 | 退職所得(退職所得控除が適用され税負担が軽い) |
| 分割受取(60歳以上) | 公的年金等の雑所得 |
| 一括と分割の併用 | 上記の組み合わせ |
積立期間20年以上では解約手当金が掛金合計を上回る仕組みとなっており、節税しながら将来の受取額も増やせます。ただし、任意解約の場合は掛金納付月数が20年未満だと元本割れするため注意が必要です(中小機構 共済金(解約手当金)について)。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
iDeCoは、自分で運用商品を選んで将来の年金を積み立てる私的年金制度です。国民年金基金連合会が実施し、金融機関(銀行・証券会社等)を通じて加入します。
個人事業主の掛金上限
個人事業主(第1号被保険者)の掛金上限は**月額68,000円(年間816,000円)**で、これは国民年金基金の掛金・付加保険料との合算枠です。2026年12月分(2027年1月引き落とし)からは月額75,000円(同じく合算枠)に引き上げられます(厚生労働省 iDeCoの概要)。会社員(月額23,000円)と比べて上限が高く設定されています。
3つの税制優遇
iDeCoには積み立て・運用・受け取りの3段階で税制優遇があります。
| 段階 | 税制優遇 |
|---|---|
| 積み立て時 | 掛金全額が小規模企業共済等掛金控除(所得控除) |
| 運用時 | 運用益が非課税(通常は約20%課税) |
| 受け取り時 | 一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除が適用 |
注意点:60歳まで引き出せない
iDeCoの最大の制約は、原則として60歳になるまで引き出せないことです。事業の資金繰りが悪化した場合でも途中解約はできません。余裕資金の範囲で掛金を設定することが重要です。
小規模企業共済とiDeCoの比較
| 小規模企業共済 | iDeCo | |
|---|---|---|
| 運用 | 中小機構が運用(固定) | 自分で商品を選んで運用 |
| 月額上限 | 70,000円 | 68,000円 |
| 所得控除 | 全額 | 全額 |
| 受取時期 | 廃業・退職時 | 原則60歳以降 |
| 元本保証 | あり(一定条件下) | 運用次第(元本割れの可能性あり) |
| 途中解約 | 可(任意解約は条件あり) | 原則不可 |
| 加入窓口 | 中小機構・代理店 | 金融機関 |
どちらを優先すべきか
両方加入できるため、年間840,000円 + 816,000円 = 最大1,656,000円を所得控除として積み立てることが可能です。
優先度の目安:
- まず小規模企業共済:廃業・退職時に受け取れる退職金として機能し、事業の出口戦略と合わせやすい。加入手続きも比較的シンプル。
- 余裕があればiDeCo:運用によるリターンを狙いたい場合や、老齢年金の上乗せを目的とする場合に追加で加入を検討。
確定申告での申告方法
どちらも「小規模企業共済等掛金控除」として確定申告書に記入します。
- 小規模企業共済:中小機構から送付される「小規模企業共済掛金払込証明書」を確認して金額を記入
- iDeCo:金融機関から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を確認して金額を記入
証明書は年末〜翌年1月頃に郵送されます。確定申告書に添付または提示が必要です。
まとめ
- 小規模企業共済・iDeCoはどちらも掛金全額が所得控除になる
- 小規模企業共済は廃業・退職時に退職金として受け取れる(退職所得控除適用)
- iDeCoは運用益が非課税で、老後の私的年金として積み立てる
- iDeCoは60歳まで引き出せないため、余裕資金の範囲で設定する
- 両方に加入すれば年間最大約166万円(840,000円+816,000円)の所得控除が受けられる
本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の加入判断については税理士や各機関にご相談ください。