Skip to content

開業費の仕訳|繰延資産の処理と任意償却

開業前に支出した名刺代・広告費などは「開業費」として処理できます。開業費は繰延資産の一種で、開業後に任意のタイミングで経費に計上できる点が特徴です。

※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。

開業費とは

開業費とは、開業準備のために支出した費用のことです。通常は事業を始める前に発生した費用は経費にならないと思われがちですが、開業費として計上することで開業後に費用化できます。


開業費に含まれるもの・含まれないもの

開業費に含まれるもの

費用の種類具体例
広告宣伝費チラシ印刷代、ウェブサイト制作費、SNS広告費
通信費開業前の電話・インターネット工事費
名刺・事務用品名刺印刷代、封筒・レターヘッド作成費
調査・研究費市場調査費、セミナー参加費(開業準備目的)
旅費交通費開業準備のための移動費
手数料開業届提出のための交通費、印紙代(一部)
その他事務所の内装工事(開業前)、什器備品(10万円未満)

開業費に含まれないもの(別途処理)

費用の種類処理方法
10万円以上の資産(PCなど)固定資産として減価償却
土地・建物の取得費固定資産として計上
敷金・保証金資産として計上(敷金勘定)
棚卸資産(商品・材料)資産として計上

開業費の仕訳

開業時に繰延資産として計上する

開業前に支出した費用を開業日(事業開始日)に「開業費」として一括計上します。

開業前に支出した費用の合計(名刺5,000円・チラシ30,000円・サーバー代12,000円)合計47,000円:

借方金額貸方金額
開業費47,000円元入金47,000円

貸方に「元入金」を使うのは、開業前は事業として存在していないため、事業主が個人として出資したお金として扱うためです。


任意償却とは

開業費は任意償却ができます。これは「いつ、いくら経費に計上するか」を自分で自由に決められる仕組みです。

  • 利益が出た年に全額費用計上して節税する
  • 複数年に分けて少しずつ計上する
  • 開業後しばらく計上せず、黒字になった年に使う

原則は60か月(5年)の均等償却ですが、任意償却も選べます。任意償却では、いつ・いくら償却するかは自由で(申告の種類を問いません)、60か月経過後の未償却残高もいつでも必要経費にできます。


任意償却の仕訳

利益が出た年に開業費を費用化する

開業費47,000円のうち30,000円を今年度の経費として計上する場合:

借方金額貸方金額
開業費償却30,000円開業費30,000円

全額一括で費用化する

開業費47,000円を全額費用化する場合:

借方金額貸方金額
開業費償却47,000円開業費47,000円

「開業費償却」は損益計算書の「経費」として計上され、課税所得を減らします。


開業費を節税に活用するコツ

黒字になった年にまとめて計上する

開業直後は赤字になりやすく、赤字の年に開業費を費用化しても節税効果が小さいです。事業が軌道に乗り、利益が出始めた年に残りの開業費を一気に費用化するのが節税上有利になることがあります。

青色申告であれば赤字の繰越と組み合わせも

青色申告では純損失を3年間繰り越せます。開業費を費用化して赤字にし、翌年以降の利益と相殺するという使い方もできます。


まとめ

項目内容
開業費の性質繰延資産(資産計上して後から費用化)
計上のタイミング開業日に一括で「開業費」に計上
費用化のタイミング任意(いつでも、いくらでも)
償却期間60か月の均等償却 または 任意償却(期限なし)
貸方の科目元入金(開業時)
費用化する科目開業費償却

青色会計では繰延資産(開業費)の管理・償却処理をサポートしています。


本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。

青色申告を、もっとかんたんに。

青色会計は個人事業主向けのクラウド会計サービスです。複式簿記での記帳から青色申告決算書の作成まで、無料で始められます。

青色会計を見てみる →