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インボイス対応の請求書の書き方|適格請求書の記載事項と注意点
2023年10月にインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まり、消費税の仕入税額控除を受けるためにはインボイス(適格請求書)の保存が必要になりました。この記事では、インボイス登録をした個人事業主が発行する請求書に必要な記載事項と注意点を解説します。
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています(令和8年度税制改正を反映)。
適格請求書(インボイス)の必須記載事項
適格請求書には、以下の6項目を記載する必要があります(国税庁タックスアンサー No.6625 適格請求書等の記載事項)。通常の請求書に①と⑤⑥を加えたイメージです。
| # | 記載事項 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | 発行者の氏名・名称と登録番号 | 「T」+13桁の登録番号 |
| ② | 取引年月日 | 請求対象の取引が行われた年月日 |
| ③ | 取引内容 | 軽減税率対象の場合はその旨を明記 |
| ④ | 税率ごとの合計額(税抜または税込)および適用税率 | 10%分と8%(軽減税率)分を分けて記載し、税率(10%・8%)も明記 |
| ⑤ | 税率ごとの消費税額 | 各税率の消費税額を明記 |
| ⑥ | 交付を受ける事業者の氏名・名称 | 請求書の宛名(クライアント名) |
フリーランスの多くは10%の標準税率のみの取引であるため、税率の区分は「10%」一種類のみで構いません。
通常の請求書との違い
インボイス制度以前の請求書(区分記載請求書)と適格請求書の主な違いは以下の通りです。
| 項目 | 従来の請求書 | 適格請求書(インボイス) |
|---|---|---|
| 登録番号 | 不要 | 必須(T+13桁) |
| 消費税額の記載 | 任意 | 必須(税率ごとに記載) |
| 発行者要件 | 誰でも発行可 | 登録事業者のみ発行可 |
インボイスを発行できるのは、税務署に登録申請して適格請求書発行事業者となった事業者のみです。免税事業者はインボイスを発行できません。
請求書の記載例
以下は個人のフリーランスがデザイン業務で発行する適格請求書の記載例です。
─────────────────────────────────────
請 求 書
2025年11月30日
株式会社○○ 御中
山田 太郎
登録番号:T1234567890123
件名:Webサイトデザイン制作(2025年11月分)
─────────────────────────────────────
品目 数量 単価 金額
Webデザイン制作 1 100,000円 100,000円
10%対象合計 100,000円
消費税(10%) 10,000円
合計(税込) 110,000円
─────────────────────────────────────
お振込先:○○銀行 ○○支店 普通 1234567
口座名義:ヤマダ タロウ
振込期日:2025年12月31日
─────────────────────────────────────ポイント
登録番号の記載位置:請求書の発行者名の近くに記載するのが一般的です。「登録番号:T○○○○○○○○○○○○○」の形式で記載します。
消費税額の記載:「10%対象合計」と「消費税額」を分けて明示します。税込合計だけの記載では要件を満たしません。
宛名:クライアント(法人名または氏名)を正確に記載します。「上記の方」「御担当者様」などの略記は避けましょう。
消費税の端数処理
複数の取引をまとめた請求書では、消費税の端数処理に注意が必要です。
ルール:1枚の適格請求書につき、端数処理は税率ごとに1回のみ
複数の品目がある場合、品目ごとに消費税を計算して合計するのではなく、税率ごとに合計した金額に対して1回だけ端数処理(切り捨て・切り上げ・四捨五入のいずれか)を行います(国税庁インボイスQ&A 問57)。
誤った処理(品目ごとに端数処理)
| 品目 | 税抜 | 消費税(切り捨て) |
|---|---|---|
| デザイン料 | 28,500円 | 2,850円 |
| 写真素材料 | 6,545円 | 654円 ← 0.5円を切り捨て |
| 修正費 | 2,545円 | 254円 ← 0.5円を切り捨て |
| 合計 | 37,590円 | 3,758円 |
正しい処理(合計に対して1回端数処理)
| 品目 | 税抜 |
|---|---|
| デザイン料 | 28,500円 |
| 写真素材料 | 6,545円 |
| 修正費 | 2,545円 |
| 10%対象合計 | 37,590円 |
| 消費税(10%) | 3,759円 ← 合計に対して1回のみ計算 |
| 税込合計 | 41,349円 |
品目ごとに端数処理すると3,758円、合計に対して1回処理すると3,759円となり、1円の差異が生じます。この差異は受け取り側(クライアント)の仕入税額控除に影響するため、正しい方法で計算する必要があります。
免税事業者の場合の請求書
インボイス登録をしていない免税事業者は、適格請求書を発行できません。ただし、請求書の発行自体は引き続き可能です。
免税事業者の請求書では:
- 登録番号は記載しない(持っていないため)
- 「消費税」として金額を請求すること自体は可能だが、クライアントはその消費税分の仕入税額控除ができない
経過措置により、免税事業者からの仕入れでも2026年9月30日までは支払消費税の80%の仕入税額控除が認められています。令和8年度税制改正後は、2026年10月〜2028年9月は70%、その後50%(〜2030年9月)→30%(〜2031年9月)と段階的に縮小され、2031年10月以降は控除できなくなります。
よくある疑問
Q:登録番号はどこで確認できますか?
税務署から送られてくる「適格請求書発行事業者の登録通知書」に記載されています。また、国税庁の「インボイス制度 適格請求書発行事業者公表サイト」でも検索・確認できます。
Q:請求書のフォーマットに決まりはありますか?
フォーマットの指定はなく、6つの記載事項を満たしていれば手書きでも電子データでも問題ありません。既存の請求書フォーマットに登録番号と消費税額の欄を追加する形で対応できます。
Q:電子請求書でも問題ありませんか?
問題ありません。PDFメールでの送付も適格請求書として認められます。ただし、クライアント側での保存方法について電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある場合があります。
まとめ
- 適格請求書には6つの記載事項が必要(特に登録番号と消費税額の追記がポイント)
- 発行できるのはインボイス登録事業者のみ(免税事業者は発行不可)
- 消費税の端数処理は請求書1枚につき税率ごとに1回のみ
- フォーマットの指定はなく、記載事項を満たせばどんな形式でもよい
本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。