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売掛金・買掛金の仕訳|フリーランスの請求から入金・支払いまでを解説

フリーランスや個人事業主が取引先と仕事をすると、「サービスを提供したが、入金はまだ」「商品を受け取ったが、代金はまだ払っていない」という状況が生まれます。このような「あとで受け取る権利」や「あとで払う義務」を帳簿に記録するのが売掛金・買掛金です。

※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。

売掛金・買掛金とは

科目意味発生するタイミング
売掛金後で受け取れる代金(資産)商品・サービスを提供したが、まだ入金されていないとき
買掛金後で払うべき代金(負債)商品・サービスを受け取ったが、まだ支払っていないとき

売掛金は「売上の未収分」、買掛金は「仕入・費用の未払分」です。どちらも発生主義の原則に基づき、現金の動きに関係なく「取引が発生した時点」で計上します。

発生主義と現金主義の違い

  • 現金主義:現金が動いたときに記録する(入金・出金のタイミング)
  • 発生主義:権利・義務が生じたときに記録する(取引のタイミング)

青色申告で65万円控除を受けるための複式簿記では、発生主義が原則です(国税庁 No.2072 青色申告特別控除)。サービスを提供した月に売上を計上し、入金は別途「売掛金の回収」として処理します。

売掛金の仕訳例

① 請求書を発行したとき(売上の計上)

Webサイト制作の報酬として取引先に100,000円の請求書を送った場合:

借方金額貸方金額
売掛金100,000円売上高100,000円

② 代金が口座に振り込まれたとき(売掛金の回収)

上記100,000円が翌月末に普通預金に振り込まれた場合:

借方金額貸方金額
普通預金100,000円売掛金100,000円

この2本の仕訳で「売上を計上し → 回収した」という一連の流れが記録されます。

③ 振込手数料を差し引かれて入金されたとき

取引先の都合で振込手数料330円が差し引かれ、99,670円が入金された場合:

借方金額貸方金額
普通預金99,670円売掛金100,000円
支払手数料330円

④ 源泉徴収がある場合の売上(デザイン報酬など)

源泉徴収対象の取引(デザイン報酬など。対象となる報酬の範囲は国税庁 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とはを参照)で、報酬100,000円から源泉税10,210円(税率10.21%。計算方法は国税庁 No.2795 原稿料や講演料等を支払ったときを参照)が差し引かれ、89,790円が入金された場合:

請求時:

借方金額貸方金額
売掛金100,000円売上高100,000円

入金時:

借方金額貸方金額
普通預金89,790円売掛金100,000円
事業主貸10,210円

源泉税は確定申告で精算されます。「事業主貸」または「仮払税金」科目で処理する方法があります。

買掛金の仕訳例

① 商品・サービスを受け取ったとき(費用の計上)

外注先に翻訳を依頼し、50,000円の請求書を受け取った場合:

借方金額貸方金額
外注費50,000円買掛金50,000円

② 代金を口座から支払ったとき(買掛金の消込)

上記50,000円を翌月末に普通預金から振り込んだ場合:

借方金額貸方金額
買掛金50,000円普通預金50,000円

③ クラウドサービスの月額料金が翌月引き落とされる場合(未払金)

月末締め翌月引き落としの会計ソフト料金2,000円を利用した場合の例です。買掛金は本業の仕入・外注に対する債務に使う科目のため、サービス利用料などそれ以外の未払いの債務は「未払金」で処理します。

利用月末:

借方金額貸方金額
支払手数料2,000円未払金2,000円

引き落とし日:

借方金額貸方金額
未払金2,000円普通預金2,000円

売掛金・買掛金の管理方法

売掛金の管理

売掛金は「誰に・いくら・いつ請求したか」を把握することが重要です。

  • 請求書番号と取引先ごとに管理する
  • 入金確認後は速やかに「売掛金の消込」(回収処理)を行う
  • 月末時点で売掛金残高と未収の請求書一覧が一致しているか確認する

未回収の売掛金が残っていると、帳簿上の利益と実際の手元資金に差が生じます。資金繰り管理のためにも、入金の遅れには早めに対応することが大切です。

買掛金の管理

買掛金は支払い漏れがないよう管理します。

  • 受け取った請求書はすぐに買掛金として計上する
  • 支払い予定日をカレンダーやリストで管理する
  • 支払い後は確実に消込処理を行う

消込(けしこみ)とは

「消込」とは、売掛金・買掛金の残高を回収・支払いによってゼロにする処理のことです。会計ソフトでは、売掛金残高に対して入金を照合・消込する機能があるものもあります。

よくある誤り

誤り①:入金時にのみ売上を計上する(現金主義)

取引先から入金されたときに「普通預金 / 売上高」と仕訳するのは、現金主義的な処理です。複式簿記(発生主義)では、サービスを提供した時点で売上を計上し、入金時に売掛金を消込みます。

誤り②:売掛金が残ったまま年を越す

年末時点で回収できていない売掛金は、そのまま翌年に繰り越します。無理に消込む必要はありませんが、貸借対照表の売掛金残高が実際の未収入金と一致しているか確認が必要です。

誤り③:回収不能になった売掛金を放置する

取引先が倒産するなどして回収できなくなった売掛金は、「貸倒損失」として経費計上できます。

借方金額貸方金額
貸倒損失100,000円売掛金100,000円

ただし、貸倒れが明らかになったことを示す書類(破産通知・内容証明等)を保管しておくことが必要です。

売掛金・買掛金を使わないケース

個人事業主の中には、取引をすべて現金や即時払いで行い、売掛金・買掛金を使わない方もいます。以下のような場合は、売掛金・買掛金を立てず直接処理することが多いです。

  • 都度払いの小口取引(店頭での販売など)
  • 即時入金のオンライン決済(クレジット経由でも一括払いが翌月に来る場合は売掛金を使うこともある)
  • 毎月定額のサブスクリプション(引き落とし日が確定している場合)

ただし、月単位での締め払い取引がある場合は売掛金・買掛金を使うのが正確な記帳です。

まとめ

  • 売掛金:サービス提供済み・未入金の代金(資産)→ 請求時に計上、入金時に消込
  • 買掛金:サービス受取済み・未払いの代金(負債)→ 受取時に計上、支払時に消込
  • 複式簿記(発生主義)では、現金の動きではなく取引の発生タイミングで記録する
  • 振込手数料や源泉徴収がある場合は差額を別科目で処理する
  • 期末の売掛金・買掛金残高は実態と照合して確認する

青色会計では売掛金・買掛金の仕訳入力に対応しています。請求書発行から入金消込まで、一連の処理を帳簿に記録できます。


本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。

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