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減価償却の計算方法|定額法・耐用年数・少額特例を個人事業主向けに解説
パソコンやカメラなど、事業で使う高価な機材を購入した場合、その費用は購入年に全額を経費にするのではなく、複数年にわたって分割して計上します。これが「減価償却」です。この記事では減価償却の基本的な仕組みと個人事業主が使いやすい計算方法を解説します。
※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。
減価償却とは
建物・機械・車両・パソコンなどの固定資産は、時間の経過とともに価値が下がっていきます。減価償却とは、この価値の減少を毎年の費用として計上する会計上の処理です。
減価償却の対象となる資産の条件
- 取得価額が10万円以上であること
- 使用可能期間が1年以上であること
- 時間の経過で価値が減少するもの(土地は対象外)
取得価額が10万円未満のものは、購入した年に全額を消耗品費などとして計上できます。
よく使う耐用年数
耐用年数は資産の種類ごとに税法で定められています。個人事業主・フリーランスがよく使う資産の耐用年数は以下の通りです。
| 資産の種類 | 耐用年数 | 備考 |
|---|---|---|
| パソコン(サーバー以外) | 4年 | デスクトップ・ノートPC共通 |
| デジタルカメラ・ビデオカメラ | 5年 | 光学機器として |
| スマートフォン | 4〜10年 | 分類により異なる(※下記参照) |
| 机・椅子などの家具 | 8年 | 金属製は15年 |
| 自動車(普通乗用車) | 6年 | |
| 自動車(軽自動車) | 4年 | |
| 建物(木造・住宅用) | 22年 |
※スマートフォンの耐用年数について:スマートフォンの耐用年数は実務上争いがあります。「電話設備その他の通信機器」の「その他のもの」として10年とするか、パソコンに準じて4年とする考え方があります。税務署や税理士によっても判断が異なるため、高額なスマートフォンを取得した場合は事前に税理士に相談することをおすすめします。
詳細は国税庁の「耐用年数表」で確認できます。
個人事業主の計算方法:定額法
個人事業主は原則として定額法で減価償却を計算します(届出なしに選択できる方法)。
定額法では、毎年同じ金額を経費として計上します。
計算式
年間の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率定額法の償却率は耐用年数によって決まります。
| 耐用年数 | 定額法の償却率 |
|---|---|
| 2年 | 0.500 |
| 3年 | 0.334 |
| 4年 | 0.250 |
| 5年 | 0.200 |
| 6年 | 0.167 |
| 8年 | 0.125 |
| 10年 | 0.100 |
計算例:パソコン(20万円)を購入した場合
取得価額20万円、耐用年数4年(償却率0.250)のパソコンの場合:
年間の減価償却費 = 200,000円 × 0.250 = 50,000円4年間、毎年50,000円を減価償却費として計上します。
| 年度 | 減価償却費 | 帳簿価額(期末) |
|---|---|---|
| 1年目 | 50,000円 | 150,000円 |
| 2年目 | 50,000円 | 100,000円 |
| 3年目 | 50,000円 | 50,000円 |
| 4年目 | 49,999円 | 1円(備忘価額) |
最終年度は備忘価額として1円を残します。
年の途中で購入した場合
年の途中で取得した場合は、使用した月数分だけ按分します。
7月に購入した場合(使用月数:6ヶ月)
1年目の減価償却費 = 200,000円 × 0.250 × 6/12 = 25,000円仕訳の書き方
期末に減価償却費を計上する場合
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 50,000円 | 工具器具備品 | 50,000円 |
青色申告の少額減価償却特例
青色申告者(65万円控除・10万円控除いずれも)には、取得価額30万円未満(令和8年度税制改正により、2026年4月1日以後に取得した資産は40万円未満)の固定資産を購入した年に全額経費にできる「少額減価償却資産の特例」があります。適用期限は2029年3月31日まで延長されています(年間合計300万円が上限)。
この特例を使えば、通常は複数年に分けて計上するものを1年で経費にできます。
特例を使った場合の仕訳(パソコン15万円)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 150,000円 | 普通預金 | 150,000円 |
特例を使うかどうかは任意です。その年の利益が多い場合は使って節税し、利益が少ない年は通常の減価償却にするといった使い分けもできます。
10万円〜20万円未満の資産:一括償却資産
取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、「一括償却資産」として3年間で均等に経費にする方法も選択できます。青色申告の少額減価償却特例と比べると、3年かかる分だけ節税効果は小さいですが、確定申告の手続きが若干シンプルになります。
| 処理方法 | 適用範囲 | 経費計上期間 |
|---|---|---|
| 通常の減価償却(定額法) | 10万円以上 | 法定耐用年数 |
| 一括償却資産 | 10万円以上20万円未満 | 3年均等 |
| 少額減価償却特例(青色申告のみ) | 10万円以上30万円未満(2026年4月1日以後の取得は40万円未満) | 1年(即時) |
まとめ
- 取得価額10万円以上・1年以上使用する資産は減価償却の対象
- 個人事業主の原則的な計算方法は定額法(取得価額 × 償却率)
- 青色申告者は30万円未満(2026年4月1日以後の取得は40万円未満)なら少額減価償却特例で購入年に全額経費にできる
- 耐用年数は資産ごとに定められており、パソコンは4年・デジカメは5年
青色会計では固定資産台帳と減価償却の自動計算に対応しており、耐用年数を入力するだけで毎年の償却額が自動で計算されます。
本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。