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物販・せどりの仕訳例|メルカリ販売・仕入から棚卸・売上原価まで解説

メルカリやAmazonなどで物販・せどりを行う個人事業主には、「在庫がある」という他業種にない特徴があります。仕入れた金額がそのまま経費になるわけではなく、年末の棚卸で売上原価を計算する必要があるためです。この記事では、せどりの確定申告に必要な売上・仕入・棚卸・経費の仕訳例を一通り整理します。複式簿記そのものが初めての方は、先に複式簿記の基本をご覧ください。

※本記事は2026年8月時点の法令等に基づいています。

メルカリなどネット販売の売上の仕訳

商品が売れたとき

商品10,000円が売れた場合、まず販売価格の全額を売上として計上します。

借方金額貸方金額
売掛金10,000円売上10,000円

販売手数料が差し引かれて入金されたとき

多くのプラットフォームでは、販売価格から販売手数料が差し引かれた金額が入金されます。たとえばメルカリの販売手数料は販売価格の10%です(2026年8月時点)。販売価格10,000円・手数料1,000円の場合、入金時の仕訳は次のようになります。

借方金額貸方金額
普通預金9,000円売掛金10,000円
支払手数料1,000円

入金された9,000円だけを売上にするのは誤りです。 売上は販売価格の総額10,000円で計上し、手数料は支払手数料として経費に計上します(総額での計上)。売上金の振込申請時にかかる振込手数料も、同様に支払手数料で処理します。

不用品の処分は事業の売上と区別する

自分が使っていた家具・衣服・通勤用の自動車など、生活に通常必要な動産の売却による所得には、所得税がかかりません(1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・書画・骨とうなどは除きます)。したがって、転売目的で仕入れた商品の販売は事業の売上、自分の不用品の処分は事業外、と明確に区別して記帳します。

不用品の売却代金が事業用口座に入金された場合は、売上ではなく事業主借で処理します。

借方金額貸方金額
普通預金5,000円事業主借5,000円

転売目的の仕入品か生活用動産かの判断に迷うケース(高額品や反復的な売却など)は、税務署や税理士に確認しましょう。

商品仕入の仕訳

現金・クレジットカードで仕入れたとき

店舗で現金30,000円分の商品を仕入れた場合は次のとおりです。

借方金額貸方金額
仕入30,000円現金30,000円

クレジットカードで仕入れた場合は、購入時に未払金を計上し、引き落とし時に消し込みます。商品代金20,000円と引取送料500円をカードで支払った例です。

借方金額貸方金額
仕入20,500円未払金20,500円
借方金額貸方金額
未払金20,500円普通預金20,500円

カード払いの記帳の詳細はクレジットカードの仕訳で解説しています。

仕入にかかった送料(仕入諸掛)

上の例のように、仕入時に負担した引取運賃・送料・購入手数料などの付随費用は、原則として商品の取得価額(仕入金額)に含めて処理します。購入代価のおおむね3%以内の少額な付随費用は、取得価額に含めない処理も認められています(所得税基本通達・棚卸資産の取得価額)。なお、商品を発送するときの送料は仕入ではなく経費(荷造運賃)です。後述の経費の仕訳で説明します。

在庫の棚卸と売上原価の仕訳

物販・せどりの記帳で最も重要なのが棚卸です。仕入れた商品の代金は、仕入れた年にそのまま全額が経費になるのではなく、売れた分だけが売上原価として必要経費になります。売上原価は次の式で計算します(青色申告の決算の手引き)。

売上原価 = 年初(期首)の棚卸高 + 年間の仕入高 − 年末(期末)の棚卸高

たとえば期首の在庫が50,000円、年間の仕入高が600,000円、期末の在庫が120,000円なら、売上原価は 50,000円 + 600,000円 − 120,000円 = 530,000円 です。売れ残った在庫120,000円分は、その年の経費にはなりません。

期末棚卸の仕訳

12月31日時点で残っている商品の数量を実際に数え(実地棚卸)、棚卸表を作成します。決算では、年初の在庫を期首商品棚卸高へ振り替え、年末の在庫を期末商品棚卸高として計上します。

借方金額貸方金額
期首商品棚卸高50,000円商品50,000円
借方金額貸方金額
商品120,000円期末商品棚卸高120,000円

この期末棚卸高120,000円は貸借対照表の「商品」として翌年に繰り越され、翌年の決算で期首商品棚卸高へ振り替えます(会計ソフトでは自動で処理されるものが多くあります)。棚卸高が貸借対照表・損益計算書のどこに載るかは青色申告決算書の書き方も参考にしてください。

日々の仕入や在庫の記録を残しておくと、期末の実地棚卸と棚卸表の作成が楽になります。仕入・棚卸の記録と仕訳連携ができる無料サービス青色在庫を使う方法もあります。

在庫の評価方法(届出がなければ最終仕入原価法)

期末在庫の金額をいくらで評価するかには複数の方法(先入先出法・総平均法など)があり、税務署への届出で選択できますが、届出により選択をしなかった場合は最終仕入原価法が適用されます。最終仕入原価法では、次の式で年末の棚卸高を計算します。

年末に一番近い時期に仕入れたその商品の仕入単価 × 年末の在庫数量 = 年末の棚卸高

たとえば同じ商品を年内に何度か仕入れ、最後の仕入単価が800円で年末に10個残っていれば、その商品の棚卸高は 800円 × 10個 = 8,000円 です。実地棚卸のときに数量を記録したメモなどの原始記録は、棚卸表と一緒に保存しておきます。

物販・せどり特有の経費の仕訳

梱包・発送まわりの費用は「荷造運賃」を使うのが一般的です(販売商品の包装材料費・荷造りの賃金・運賃など)。段ボールや緩衝材をまとめ買いした場合の仕訳は次のとおりです。

借方金額貸方金額
荷造運賃2,400円現金2,400円

商品を発送したときの送料も荷造運賃です。

借方金額貸方金額
荷造運賃800円現金800円

在庫の保管に借りているトランクルーム・レンタル倉庫の月額料金は、地代家賃(または賃借料・保管料)で処理します。科目名は複数の候補がありますが、一度決めた科目を継続して使うことが大切です。

借方金額貸方金額
地代家賃11,000円普通預金11,000円

検品・清掃用品(クリーナー・メジャー・シール剥がしなど)は消耗品費で処理します。

借方金額貸方金額
消耗品費1,500円現金1,500円

このほかの一般的な経費の仕訳は経費の仕訳例まとめをご覧ください。

注意点:家事消費と記録の保存

自分で使った商品は「家事消費」として売上に計上する

仕入れた商品を自分や家族で使ったり、人に贈与した場合も、収入金額に計上する必要があります(家事消費)。収入金額は原則としてその商品の通常の販売価額ですが、仕入価額(仕入価額が通常の販売価額のおおむね70%の金額よりも低いときは、通常の販売価額の70%の金額)で計算しても差し支えないとされています(国税庁・家事消費とは)。

販売価額10,000円(仕入価額7,000円)の商品を自家使用し、仕入価額で計上する場合の仕訳例です(10,000円 × 70% = 7,000円 以上のため仕入価額での計上が可能なケース)。

借方金額貸方金額
事業主貸7,000円売上(家事消費)7,000円

「仕入だけ計上して売上がない」状態になるため、税務調査でも確認されやすいポイントです。自家使用した商品は日付・品名・金額を記録しておきましょう。

レシート・仕入記録の保存

帳簿や棚卸表、納品書・請求書・領収書などの書類は、原則として7年間(一定の書類は5年間)の保存が必要です。せどりでは店舗での現金仕入も多く、仕入の証拠が残りにくいため、レシートの保管に加えて仕入日・商品名・数量・単価の記録を日頃から残しておくことが大切です。

なお、消費税の免税事業者は税込経理方式(税込金額での記帳)によることとされています。本記事の仕訳例の金額も税込の前提です。

物販・せどり向け勘定科目まとめ

取引内容勘定科目
商品の仕入代金・引取送料仕入
販売手数料・振込手数料支払手数料
梱包材・発送送料荷造運賃
検品・清掃用品消耗品費
トランクルーム・レンタル倉庫地代家賃(賃借料・保管料)
年末に残った在庫期末商品棚卸高(商品)
自家使用した商品事業主貸/売上(家事消費)
不用品の売却代金事業の売上に含めない(事業主借)

まとめ

  • 売上は販売価格の総額で計上し、販売手数料は支払手数料として経費に計上します
  • 生活用動産である不用品の処分は事業の売上と区別します
  • 売上原価は「期首棚卸高 + 仕入高 − 期末棚卸高」で計算し、売れ残った在庫はその年の経費になりません
  • 在庫の評価方法は、届出をしていなければ最終仕入原価法です
  • 自家使用した商品は家事消費として売上に計上し、仕入のレシート・棚卸の記録は保存します

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本コラムは一般的な情報提供を目的としています。個別の税務判断については税理士にご相談ください。

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